
母が軽度認知症だとわかったとき、一番最初に「治そう!」と思いました。世の中には、認知症に関する情報が溢れており、「軽度」という名前から、治せると思っていました。
長年の間、たくさんのお医者様や、製薬会社が挑んできたにもかかわらず、薬ができていません。それならば、ヒトの自然治癒力や、備わっている能力で、治せると思いました。
まずは、認知症がどういうもので、何をすればいいか。情報収集を始めました。
母は、アルツハイマー型認知症
認知症のことを調べていくと、認知症は、いくつかの種類に分かれるということがわかりました。
大きくは、
アルツハイマー型認知症
レビー小体型認知症
前頭側頭型認知症
に分けられ、多くはアルツハイマー型認知症とのこと。母の場合も、アルツハイマー型認知症と主治医から言われています。
子どものころの記憶では、脳は一部の機能しか使わられず、人は一生を終えるという話もあったので、認知機能の低下は、脳の他の部分で補えるはず!と思ったのです。
さらに、本やインターネットで情報を収集すると、
・水を飲んで、アミロイドベータを減らす
・脳トレ
・毎日の運動
・リコード法
など、認知症改善の情報がたくさん挙がってきます。
また、アルツハイマー型認知症では、新しい記憶をためる海馬に問題をあることはわかりました。古い記憶は大脳新皮質に貯まります。つまり、瞬間的な記憶を繰り返すことで、固定された記憶にすれば、まだまだ、脳を使うことができると思いました。
認知症改善のために試したこと
まずは、一番身近で、簡単な「水を飲む」という方法。新陳代謝をアップさせ、アミロイドベータを排出してくれるという分かりやすい話です。
母と同居し始めたのは、夏真っ盛りの八月。暑いので、水を飲むことは、うってつけという思いもありました。
やり方は、いたって簡単で、1日2リットル以上の水を飲みましょうというもの。ただ、私も試してみたのですが、この水を2リットル飲むというのは大変です。そもそも高齢者は、水分を取らないという話ですが、母も同様でした。母は、1リットルの水を飲むこともできませんでした。
続いては、脳トレ。数独や、クロスワードをさせてみましたが、もともと頭が良くないので、数独は、ルールの理解ができませんでした。クロスワードも、1つやったら飽きてしまって、やらなくなりました。そもそも知的好奇心がないので、本を読むこともなく、新聞は、TV欄を見るだけでした。
なぜ、うまくいかないのか
結果は、どれもうまくいきませんでした。
理由は簡単で、本人のやる気がないことです。母は、認知症という意識がありません。風邪をひいたり、怪我をするとその症状を治そうとしますが、母は、認知症と思っていないので、治す気がありません。また、認知症のせいか、何をするにも、やる気がなく、自ら進んでやることは、テレビを観る、買い物するだけです。洗濯、掃除は、ほとんどしません。
10年以上前にやっていたウォーキングの記憶は今もあり、「毎日歩いている」と言っているますが、毎日寝ているだけです。
改善できた人が、いるのか?
情報過多の環境ですが、改善できた人はいるのでしょうか。今の時代、認知症が改善できたとなれば、大ニュースになるはずです。たくさんの認知症患者がいるのにもかかわらず、改善できたと、聞いたことはありません。
TVや雑誌でも、認知症について、取り上げられているのを目にします。よくよく見てみるとだいたいが認知症「予防」の情報です。つまり、これからできるだけ認知症にならないでおきましょうねという情報だったのです。
もちろん進行を遅らせる可能性はあるでしょうが、元通りになる改善には、至らないでしょうし、遅れたのが、水を飲んだり、脳トレをした結果かどうかは、調べることはできません。
認知症は、治らないのか
現代の医療においては、認知症を治す方法はないと思っています。あくまで、「現代の医療」においてです。
小学生のとき、40歳になったら石油がなくなるということを社会の授業で教わりましたが、今も石油は採掘できています。これは、あの当時の技術であれば、採掘できる原油量で計算していたためです。新しい技術や、その他の燃料によって、石油は余っているほどです。
これまでは、薬で治そうとしていましたが、このように、薬以外の方法での治験も進んでいるようです。
世界初のアルツハイマー型認知症に対する超音波治療の医師主導治験 ―安全性を確認し本格治験へ―
これからの医療の発展に、大いに期待しています。
アップデート:
エーザイと米バイオジェンが共同で開発するアルツハイマー型認知症治療薬候補が、アメリカで承認申請が取得されるとニュースになりました。期待していますが、値段が高すぎますね。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC200Y60Q1A520C2000000